トップでシナモン、ペッパー、クローブなどのスパイスが踊り、すぐさまローズ、ジャスミン、ミルラなどの芳しいフローラル・ノートのミドルに以降。ラストはムスクやミルラ（没薬）などがなんともいえないグルーヴ感のあるミステリアスな甘さを沸き立たせます。因みにミルラとは、その薬効、殺菌作用から古代エジプトで王の遺体を保存するために使われた、麝香のような強い香りの樹脂の抽出油で、「ミイラ」の語源である由緒ある香料です。

基調はキャロン十八番のフローラル・ブーケ。ミモザを中心に、ベルガモット、ジャスミン、バイオレット、スズラン、ライラック、ラベンダー、バニラなどの調合による、上品な甘さが魅力的。間違いのない品質を保ち続けるキャロンだからこそ成しえる、まさにキャロン・トーンのフローラル。褐色の香水色は、見るものの目を奪います。大人向け。ナイトシーンにお勧めです。

最近キャロンは昔の名作の復刻をかなり進めているようで、ファンとしては嬉しい限りですね。オリジナルのクラシカルなオリエンタル調を踏襲しながら、マテリアルをさらに選び抜いて洗練させたような、フローラル・シプレーの香調をベースにしており、豪奢で深みのあるエレガントなフローラル香でもって、貴女の滲み出る大人のフェミニティーをくっきりと後押ししてくれそうなアイテムに仕上がっております。ベルガモットやマンダリンといったシトラス・ノートがすっきりと明るく香り立つトップから、ローズ・ペタルズやフランキンセンスなどが、ふくよかでラグジュアリー、そしてテンダーな情感のフローラル・ブーケを匂い咲かせるミドルへ。ラストはアンバーやベンゾインなどが、しっとりとしていながらもパワフルなセンシュアル・スウィートを沸き立たせ、ゴージャスな気品とグラマラスな佇まいを兼ね備えた、極上のフェミニンをアピールしてくれそうです。

こちらは1934年に発売された、キャロン香水としては初めてのメンズ・フレグランスです。シプレー・ウッディー・ノートの、厳格なジェントル・スタイルを貫く香調をベースにしており、品のある大人の男性による、品のある大人の男性のためのアイテムに仕上がっております。ベルガモット、レモン、ラベンダー、ローズマリーなどがクラシカルな趣きのハイ・ソサイエティーを醸し出すトップから、クラリセージ、ローズ、ローズウッド、シダーウッドなどがエレガントな甘さを引き立てて極上のダンディズム光らせるミドルへ。ラストはバニラ、ムスク、トンカビーンズ、モスなどがコクのあるマイルドな男のロマンティック･スウィートを立ち表させ、時代を超えて愛される詩情豊かなマスキュリニティーを浮かび上がらせてくれそうです。現在プロダクトはアレス・グループ。フォーマルなスーツ以外には似合わないような香りで、シプレーではあるもののラストの甘さがしなやかな柔らか味を与えております。