南仏プロヴァンスの花と題された今シリーズは、それぞれ一つの花に焦点を絞って作られたシングル・ノートのラインナップ。「ローズ」ですから、バラの香りです。そしてもちろんこのバラは、グラースで摘み取られた貴重なバラ。目を閉じると、そこはまさにバラの園。

アンバータイプです。

イリスということで、こちらは菖蒲(アヤメ)の香りをメインにしております。イリスとは、元々はギリシャ神話の虹の女神の名前で、神々の色恋沙汰に巻き込まれ傷心したこの女神が、虹に姿を変えてしまおうと飲んだ神酒が地上にこぼれてイリスの花になったという、大変ロマンティックな逸話を持つ花です。本作は、気高く芯がある凛々しい甘さの中に、どこか可憐で儚いようなニュアンスも滲ませる、非常に魅惑的な香りが特徴のこのイリスの花をメインにした、フローラル・ウッディーの香調をベースにしており、存分にホワイト・フローラルのセダクティブな香りを楽しめるアイテムに仕上がっております。シトロンやベルガモットなどが、柔らかくライトな柑橘香を香らせるトップから、イリス、ミュゲ、ジャスミン、シクラメンなどが、リッチで華やぎのある、それでいてセンシティブな極上のブーケを匂い咲かせるミドルへ。ラストはサンダルウッドやムスクなどが淡くチャーミングな情感のフェミニン・スウィートを浮かび上がらせ、淑やかで軽やかな女性らしいエレガンスをアピールしてくれそうです。

デリシャスでキュートなバニラ香を前面に押し出した、フルーティー・フローラル・バニリックの香りで、若々しくロリポップな印象でありながら、そこはかとない品を醸し出す、さすがは老舗の妙なる出来の一品に仕上がっております。カラメル・アコードとバーボン・バニラが、甘~くとろけてしまいそうな、コンフェクショナリー系のスウィートを浮かばせるトップから、スペアミントやマンダリンが、一転してクールで涼しげな情感のシトラス・ハーブを香り立たせるミドルへ。ラストはブラックカラント、ジャスミン、タンジェリンなどが、全体の香りのバランスを程よく取って、ポップであっても落ち着いたテクスチャーを覗かせ、極上のフェミニティーを演出してくれそうです。