○平成17年度 行政書士過去問題集・教養○
■4問目 回答結果■
正解!
正 解:5
時 間:14632秒
正解数:2問

第5問目
問題45 次の文中の空欄[A]・[B]に入る語の組合せとして、最も適当なものはどれか。
 理論的解釈とは、一見、相異なる、あるいは矛盾する諸現象を説明しうる論理をうちたてることです。これは思いつきのような一つの
アイディアを出して、それに該当すると思われる諸現象をあげて説明していくのとは違います。シンポジウムの中でも私が指摘したところで
すが、私の「タテ」の理論というものは、決して日本社会は「タテ」であるというアイディアとか信念に発して、諸現象を提示したものでは
ありません。また、封建時代の主従関係、あるいは戦前の社会によくみられたという上から下への権力の行使にその原型を求めたものでは
ありません。それはまず、現実に存在するさまざまな人間関係、集団と個人の関係、集団と集団の関係における諸現象に理論的なつながりを
求めようとしたことから発しています。
 定着度の高い特定の人間関係、集団の孤立性、上司と部下、同僚との関係、夫婦、親子など家族成員の関係を他の諸社会との比較を念頭に
おいてとらえ、日本のさまざまな諸現象を説明できる論理を見出そうとしたわけです。社会は常に動いているものですし、変化がみられます。
したがって、一定の時期に固定した説明ではなく、ダイナミックな運動にたえられる一つのシステムとして抽出しなければならないと考え
たわけです。
 たとえば、上位のステータスをもつ人(上役、父親など)の権力あるいは権威が失墜し、むしろ、部下や母親の方が強い発言権をもつように
なった、というような現象は、集団の孤立性自体には何らの変更を与えませんし、一つの集団の中で誰かが[A]にある、という点でタテと
いう構造の上で何らの変化はなく、同一の構造におけるバリエーションにすぎないとみることができます。したがって、亭主関白も嬶(か
かあ)天下も同一の集団構造の異なる表現にすぎないことになります。すなわち、この構造のあり方は、夫と妻が対応し、その各々が侵すこ
とのできない役割、場をもっているという[B]な構造とは異なっています。いずれにおいても「タテ」の関係が出ています。したがって
日本における権威主義と民主主義の名のもとにみられる諸現象は同一の構造の中に見出されます。このように、権威主義から民主主義に大き
く変わったとされることも、構造論の立場で他の諸社会との比較という大きな視野からみると、実は同一のシステムが存続しているとみる
ことができます。
(出典 中根千枝「タテ社会の力学」より)

     A         B
1 周辺的な位置 二項対立的
2 中心的な存在 二律背反的
3 基礎的な位置 二極分解的
4 基礎的な存在 二極分解的
5 中心的な位置 二項対立的








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