○平成15年度 行政書士過去問題集・教養○
■3問目 回答結果■
不正解!
正 解:3
時 間:16950秒
正解数:0問

第4問目
問題46 次の文章に「いささか逆説的に聞こえるかもしれないが」(下線部)という表現があるが、
筆者がそのように言う理由として最も適当なものは、1から5のうちどれか。

 「記号」ということばで、私たちはふつうどのようなものを連想するであろうか。一方通行や進入禁止を表す道路標識、
プラスやマイナスを表す数学の記号、学校とか山とかの所在を示す地図の標識━━人によって差はあれ、こういったものが平均的なところ
であろう。もし受験生であったら、「解答は所定の欄に記号で記入せよ」といったような使い方を思い浮かべるかもしれない。
選択肢として挙げられている(イ)とか(ロ)、あるいは(a)とか(b)━━それが「記号」である。
 このような例に代表される「記号」のイメージは、どう見てもあまり良いものではない。つまるところ、「記号」は何かの代用をして
いるにすぎないという意識があるからである。本当の意味で重要なのはその何かの方であって、「記号」はその何かをまともに持ち出す
代わりに、それと一対一に対応させられたものが便宜上使われているだけだ、というわけである。(試験で「論述」式の方が「記号」式よ
りも十分な評価ができるという発想も、こういうことと無関係ではない。)
 現代の記号論で「記号」と言う場合は、実はこの種の記号とはほとんど関係ない。この種の記号は、たぶん「記号」というよりはむしろ
(あるいは「記号」の中でも)「符号」とでも呼んだ方がよいようなものである。つまり、すでに正確に規定された内容が了承されていて、
ただそれをそのまま持ち出す代わりに、もっと扱いやすくてそれと一対一に対応すると了承されているものが使われているというだけのこ
とである。いわば、本当は何かがあるという目印として、同じ場所に便宜上おかれているおはじきみたいなものと言っても良いであろう。
例えば、「文化を記号として捉える」というようなことを言うことがあるが、これはもちろん、文化の諸相をこのような意味での(つま
り、「符号」と呼んだ方が良いような)「記号」でもって転写してみようというようなことではない。
 現代の記号論で「記号」ということが考えられる場合は、いささか逆説的に聞こえるかもしれないが、むしろ、この種の「符号」と呼ぶ
のがふさわしいと思われる「記号」を超えていくような営みに、何よりもまず第一に関心が寄せられるのである。
         (出典 池上嘉彦「『ことば』再発見」)

1 「記号」は、それに一対一に対応する内容の便宜的な置き換えであるが、その代用という見方を「符号」として否定することが
「逆説的」であるから。
2 「文化を記号として捉える」といいながら、文化には多くの在り方(諸相)があるにもかかわらず、それを「記号」と考えないことが、
「逆説的」であるから。
3 「記号」は「正確に規定された内容」を簡潔に表現できる機能を持つにもかかわらず、その働きが無視されていることが「逆説的」
であるから。
4 「記号」は、「内容の了承」があるから成立するのであるが、それを「符号」と置き換えているところが、「逆説的」であるから。
5 「記号」の在り方・意味を考えるのが記号論であると思えるのに、「記号」を超えて行くような営みに関心を寄せている態度が
「逆説的」であるから。








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